《難攻不落》っ!!!　トーキョーNOVA the Detonation リプレイ“閉ざされし扉”

“Livin' on the EDGH”の看板が強くなり始めた風に吹かれてカタカタと音を立てている。
あちこちに点在する水溜りが、朝、動き始めた町の人々に踏まれて波紋を作っている──。
早くも蒸し暑い日になりそうな、そんな予感をさせる、そんな天気だ。

店の前にセダンがつき、装甲コート姿の男が姿を現す。
先客の男を一瞥し、一騒動過ぎたばかりの雰囲気を嗅ぎ取って、ＡＤ２０をくわえる。
「出遅れたかね」

カキンッと音を立ててＺＩＰＰＯを開き、男のタバコに火をつける
「ほんの少し、ですがね。」

「おう、悪い。……まさか堂々と自宅に戻ってるとは思わなくてな。トロントレースは当てにならんし、クソ」

「そろそろ、向こうさんもここに気づきそうでしたから、逃がしました。勝手、でしたね？」

「証人と証拠を確保できなかったのはいてェが、何、元々“故人献金”は今回の狙いじゃねェ」
「エサを狙って食いついたところを横から叩けりゃいいのさ、俺達はな」

「”彼ら”は今、危うい状態にいます。状況より、個人の精神ほうが、ね。若いですよ。」
ポケットロンからデータクリスを抜き出し、渡す。
トレーサーの信号コードだ。

「ガキはガキなりに覚悟決めて動いてンだろ。泣き付かれてもねェのに世話を焼く必要はねェさ」
受け取って即座にオペレーターへ回す。

「俺もまだ若いってことですかね。恩を返そうと焦るなんて。」
くはは、と苦笑を漏らす。

「お前、“献金主”とは知り合いだったンだっけな。何かあったのか」

「昔、ヘマをしたところを、助けてもらったんですよ。今の彼らのようなことをして…ね。」

「それでか」
おおよそ察しがつく、という顔をする。
この手の仕事をして、こういう手合いと付き合ってると、たまに出くわす話だ。
そういうのを背負って損得なしで動く奴、というのが、時に一番厄介になる。誰にとってかは分からないが。

「まぁ、昔話より、これからの話。そろそろ、ビジネスの話に行きましょうか？」

「“献金”がお前の狙うホンボシなんだろ？　そっちを調べるンなら回してくれりゃそれでいい」
「俺らがあまり首を突っ込むと、政治が面倒でな」
「今回の俺らの狙いは、そいつの飼ってる狂犬だ。そこ以上に突っ込むにはちと準備が足りん」
「本音を言えばお前の桜華一剣流もちょいとアテにしてるがね」

「買われてると、うぬぼれていいんですかね。」

リサーチ：“behind stalk”について

推奨技能：〈社会：ストリート〉〈社会：警察〉〈社会：カーライル・シンジケート〉+Lv　〈社会：北米〉-3〈社会：NOVA〉-3　　〈コネ：黒沢〉〈コネ：エルモ〉
目標値：成立　13　15

・成立：マーダーインクのエージェント。実在すら疑われている他人の姿を被り活動する情報工作員。
　　　　年齢不詳。性別不詳。カゲムシャ◎
・Lv13：IANUSのIDを奪い、可変型義体の能力をも使用して完全にその人物になり切る事が出来る
　　　　──と言われている。
　　　　アドレスを入手。三条 信宏氏と完全に一致している。
・Lv15：現在、三条 信宏の仮面を被り、メディアの注目を一身に集めながら
　　　　故人献金事件の容疑者として活動中。
　　　　が、それがbehind stalkと言う人物の被った仮面である、と言う証拠が一切ないため
　　　　IANUSのID乗っ取りの容疑で検挙する事は不可能 ( 《完全偽装》による遮蔽である

エルモ『……マーダーインクは、追いかけていた目標を見つけたみたい』
エルモ『奪われた情報を取り返す為に、behind stalk自身も動き始めたんじゃないかな』
エルモが送ってきた『三条 信宏』のアドレスは、ウェットシティのクリオン.coから外に出て移動中だ。

そんな、ここへ来る前に受けた、エルモからの連絡を思いだしつつ。
「こいつのこと、ですか？」
と、もう一つのデータクリスを渡す。
狙ってる獲物は…と、つなげながら

「そうか、出てきたか」
「良い子だ。なら、引っ張るまでだ」
もうここに用はないとばかりに水溜まりを蹴立ててセダンへ戻る。

「っと、戦争女はどうするんです？」
あわてて、当然とばかりに追従する。

「河渡とカチ合ってるとこに横やり入れると、下手を撃つと敵が増える。ヤツらメンツだけにゃうるせェからな」
「どっちみちガキどもを追うしかねェだろ」

「なら、ご一緒させてもらいますよ。と、車の中にカタナはありますかね。」
勝手に後部座席を開き、中を物色

「あるわけねェだろ。運び屋を呼んでやる、数打ちでいいなら手配してやるよ。好みの寸と重ね身幅はなンだ？」

「弘法なんとやら、ですが。そうですね。刃渡りは73cmちょい、反りが3cm程度のヤツがほしいですね。」
江戸後期の打刀って役に立たないんで。

「反りは京ぞりでいいな」

「そこらへんはお任せします。」

ｍ：ディクショナリ　Ｍ：〈売買〉　【外界】４＋７＝１１
〈携帯許可〉【理性】７＋７＝１４
斬魔刀を手配しておく。
馴染みの運び屋に正国の数打ちの出前を頼み、代金は裏プールから出す。
行く道の途中で受け取る段取りだ。
「行くぞ」
アクセルを踏み込む。

「っと、了解。」
あわててシートベルトを締める。

　　　　　　　　　　　キュルキュル、とタイヤが濡れた路面を蹴り走り出す

　　　　　　　　　　　『戒、連中が動いた。リアルタイムアドレスを送る──エサを誘き出す腹らしい』

・信也

特になし