《難攻不落》っ!!!　トーキョーNOVA the Detonation リプレイ“Your Grip Hand On!!”

　　　　　　　　　　　　　　　　『どうぞ、入ってください。』

「はい」

千早アーコロジー、後方処理課オフィスの一角に設けられた小さな執務室。
部屋のプレートには『坂縞』としか書かれて居ないが、
一部の職員達からは、『早期警戒機構』の名で呼ばれる部屋だ。

「はい、失礼します」

───中に居るのは、その早期警戒機構の長、坂縞ユウラである。

ユウラ「すみません、態々お呼び立てしてしまいまして」

「いえ……千早重工人事部所属、神座姫紗那です」
名指しで指名されたのにも関わらず
態々名を名乗ると
仰々しくマントを捲り上げ一礼する

ユウラ「はい、神楽課長から、ご紹介頂きました…どうぞ、お掛けになって」
　───会議用のテーブルの椅子に対面になる様に座る。

「はい、失礼します」
促されるまま椅子に腰掛ける

ユウラ「……神楽課長から聴いているかも知れないのですが、1から説明を致しますね」

「いえ、宜しくお願いします」

ユウラ「私が、今追っている、一つの懸案に付いて、貴女のお知恵を拝借したいと持っています」
ユウラ「反日宗教テロ組織…“氷の静謐”はご存知ですよね」

「はい、勿論存じてます」

ユウラ「その上級幹部が作り出した、クローン兵士の開発阻止と、」
ユウラ「その兵士を使って行われようとしているテロの防止」
ユウラ「それが、現在私が手掛け…以前神楽課長にも手伝っていただいた事案です」

「うかがっております」

ユウラ「…その、少々、眉唾-マヤカシ-な話になりますが、」
ユウラ「…静謐の高僧、“黒の”アムールは、日本を滅ぼすための手段を常に探り続けていました」
ユウラ「当然恐ろしく難易度の高い事でありますが、」
ユウラ「彼らはその中でも『最も実現性の高いもの』を見つけたと思われます」
ユウラ「…それが何であるか、如何やって何時行われるのか…それを調べ上げて欲しいのです」

「なるほど」
「一応私の認知している範囲ではグランドクロス、EYE･OF･GODなどの軌道兵器辺りが該当しますが」

ユウラ「…今まで、それらを使用して来た計画は全て潰されているはず」
ユウラ「それでも…今度だけは危険度が違うんです」
ユウラ「よろしくお願いします」

「なるほど……貴女がそうまで言うのであれば、そうなのでしょう早期警戒機構/坂縞ユウラ」
「ですが、そうですね……」
「いえ、情報に可能性を提示しても仕方有りませんね」
「それは情報を狭めることに他ならぬ行為でした……忘れてください」

指し手が絡んでいた事が
常時冷静な彼女に焦りを与えているのか
らしくない苦笑を浮かべると

「では、私なりに適当に可能性を当たってみます」
「何か追加情報が有れば、随時宜しくお願いします」

席を立ち軽く頭を下げ
そのまま、ツカツカと退室して行く

　　　　　　　　　　　　　「ふぅ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キィと椅子の背もたれを鳴らす。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　先日の投薬洗脳のダメージは未だ癒え切って居ない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だが、動かずには居られない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───だから、あえて神楽刹那に膝を折り
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───その懐刀とも噂される少女を借り受けたのだ。

　　　　　　　　　　　　　「…さて」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SeenEND