《難攻不落》っ!!!　トーキョーNOVA the Detonation リプレイ“閉ざされし扉”

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カシャッ

　　　　　　　　カシャッ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カシャッ

ホロスライドが切り替わる効果音が響く。
その度に違うアングルから撮影された女の写真が表示される。
背景は房総南国際空港の到着ロビー
巧みに変装し、外見特徴を隠してはいるが──
隣に表示されている女の元の姿と横に並べ、重ね合わせると、大方の点で符合する。

アーニー「決まりだな」
黒沢「──　ケルビム重指名手配犯のマーダーインクエージェントのＮ◎ＶＡ入りですか」

嫁と巨漢の同僚も溜息を吐く。

「年齢不詳、本名不明、ハンドルネーム“ドリス”」
「まさか戻ってくるとは、ハウンドも舐められたもンだな」
キャルムを開けてひと啜り。

アーニー「兎も角、入管のボンクラどもが見逃しちまった以上、あたしらで見つけて縛るしかねぇなぁ」

黒沢「SSSは頑張ってくださったようですよ」
黒沢「既に殉職者が両手両足の指でも足りなくなっているようですが」

「捜査権はぶんどってきた。ここから先は俺達だけでやる」
缶を一振り。
「俺たち三人だけでな」
「――ま、ホワイトが例のスクープで大わらわになってるとこに三人回して貰えたのは御の字だナ」

黒沢「隊長と課長がまた角を突き合わせているそうですな。政治問題はややこしくて叶いませんわ」

女のホログラムは、無表情にこちら3人を見詰めている。

「政治じゃなくてもあの二人の睨み合いには首を突っ込みたくないね」
「……シフトは黒沢と俺が外出、メリッサは基地で居残りだ」
立体処理されたホロをにらみ返し、
「オペレーターも大わらわなンだ、専属に一人ついて貰わにゃならん。いいな」

アーニー「……ちっ、しゃーねー」
黒沢「重火器を得意としているそうです。街中で振り回した前科もある。慎重に行きましょう」

“ドリス”……そのホログラムの傍らには、
　　　　　　　　　　何かの冗談のように、その体格には不釣合いな“ブルドッグ”が表示されている。

「装備課にマキシマム三丁と弾ァ申請しといた。受け取っとけ」
「いつもは渋られるンだがな、資料見せたらスルーパス」
「……正味ウォーカーか思考戦車（シンク）でも欲しいとこだが」
「あくまで確保じゃ仕方ねェ」

アーニー「全くだ」
　　　　黒沢「ま、もっともあたしらじゃぁ操縦できませんがねぇ」

「そンじゃ、早速行くぞ。解散」

アーニー「応」
　　　　黒沢「行きますかァ」

プロジェクターを片付け、出がけにリンクスを繋ぐ。
『メモリのやつに頼んどいた。６：００～１５：００ならこっちに割いてくれると』
『来たら素直に交代して貰え』

アーニー『士郎いー子にしてるらしーからな。ちゃんと構ってやんねーとなぁ』

『託児所のおばはんを母ちゃんだと覚えられたら困る。後詰め（バックアップ）だ。しっかりやれ』

アーニー『パパはポケットロンだ、なんて覚えられ方すんのとどっちが悲惨かね』
アーニー『てめーもちゃんと帰って来いよ！』

『そいつばっかりはゴメンだ。分かってら。オーバー』
『じゃあ行ってくる、アーニー』

アーニー『──XYZ Darling』
　　──OUTRON